
競争よりも共創の時代

2025年が始まり、早くも2か月が経過しました。
世界に目を向けると、第二次トランプ政権2.0が各国に向けてトランプ流ディール「強気な交渉術」を展開し、「関税合戦の様相」を呈しています。
特にカナダ、メキシコ、中国に向けた強硬な発動により、株・ドル・円相場が乱高下しています。
そして、2月末日、世界が注目する中でアメリカ・トランプ大統領とウクライナ・ゼレンスキー大統領の会談が行われました。
しかしながら、その結果は「決裂」という厳しい現実でした。
ロシア・ウクライナ戦争の早期停戦を掲げたはずの会談でしたが、交渉のテーブルについた両者が子どものけんかのように罵倒し合う姿を見て、世界各国はどのように感じたのでしょうか?
現在も戦争で大切な命が失われている状況の中、それぞれの国益を主張し合い、譲ることなく終わったこの会談は、現実として受け止めなければなりません。
「自国ファースト」を掲げるトランプ大統領は、アメリカが善意でウクライナを助けているのではなく、ウクライナで採れる資源を戦争協力の見返りとして得ようとしていると示唆しています。
トランプ大統領は、これまでの軍事支援額は5000億ドル(日本円で約75兆円)とされていますが、実質的には約15兆円とも言われています。
その軍事支援の引き換えに、レアメタルなどの鉱物資源を確保しようとしています。
これは歴史的にも安全保障の観点からも、あり得ない考え方であり、「欧米」の協力体制を分断しかねない交渉となっていることに危機感を抱かざるを得ません。
アメリカと日本が同盟国として歩調を合わせるとすれば、武力侵攻したロシアの行為を認めることになり、「やったもの勝ち」となってしまいます。
そうした場合、中国が台湾に武力侵攻した時も、ロシアとウクライナのケースと同様になり、日本にとって対岸の火事では済まされません。
このような「自国ファースト」の主権国家的な思考が続けば、中国が台湾に武力侵攻する可能性も高まり、本当にそれで良いのか疑問を抱かざるを得ません。
日本は、世界で唯一の核被爆国として、またアメリカの同盟国として安全な島国であるとされてきましたが、現在のトランプ政権を見渡しても、日本を助ける保証はどこにもありません。
そして、紛争リスクを考えると、北はロシア、東は北朝鮮、南は台湾、そしてそれを狙う中国と、日本は地政学的に非常に厳しい状況に置かれていることを忘れてはなりません。
国際政治のニュースは、一見私たちの生活や仕事に関係ないように思えるかもしれません。
しかしながら、ビジネスの視点で見ると、これらの出来事は私たちの日常や未来に大きく関わってきます。
今の現状を対岸の火事と捉えるのではなく、トランプ流ディールの影響と、「これからのビジネスはどうあるべきか」を考えていきたいと思います。
トランプ大統領のビジネススタイルは、「強気な交渉術」に特徴があり、著書『TheArtoftheDeal』では、「ディール(取引)」において主導権を握ることの重要性が強調されています。
政治の場でも同じ姿勢を取り、「自国ファーストで利益を最大化するためには、多少強引でも交渉を有利に進める」というスタンスを持ち続けています。
今回のウクライナとの会談決裂や関税政策も、「ディール思考」の延長線上にあると考えるべきです。
そして、ウクライナ・ゼレンスキー大統領との会談では、アメリカの軍事支援の条件について折り合いがつかず、支援の一時停止が発表されました。
関税政策に関しても、「アメリカの産業を守るために外国製品に高い関税をかける」という考えのもと、中国やカナダ、メキシコとの貿易に影響を及ぼしています。
ビジネスにとって何が大切なのか?
このような強気な「ディール戦略」は、一見すると「ビジネスで成功するために必要なもの」と感じるかもしれません。
確かに、交渉力や主導権を握る力はビジネスではとても重要ですが、これからの時代に本当に求められるのは、それだけではありません。
私たちが考えるべきなのは、「ディール(取引)」ではなく、「リレーション(関係性)」です。
つまり、「短期的に利益を得る交渉」よりも、「長期的に信頼を築く関係」のほうが、これからの時代ではより大切になってくるのではないでしょうか?
「競争よりも共創の時代」と考えるべきです。
昔は、「ライバルを出し抜いて市場を独占する」ことがビジネスの成功とされていました。しかし、これからの日本産業は違うと思います。
今後の少子高齢化社会では、一業者一社の時代は終わり、「競争よりも共創(コラボレーション)」の考え方を重視する企業が増えてきており、お互いの足りないものを補い合う時代になっていくでしょう。
日本の経営哲学には「共存共栄」の考え方があります。
経営の神様であり、パナソニック創業者・松下幸之助氏は「商売はお互いが幸せになるためのもの」と語っています。
この「共存共栄」は、相手を攻撃するのではなく、共に良くなることを目指す考え方です。
ウクライナ情勢・関税戦略において、アメリカは「自分たちの利益」だけを優先し、「共存共栄」の考え方を完全に無視しています。
ウクライナの苦境を前に、多くの国が支援の手を差し伸べていますが、そこに本当の「利他の精神」はあるのでしょうか。
これからの時代の成長企業は、どれだけ多くの人々の困りごとを解決できるかにかかっていると考えるべきです。
だからこそ、シューワGの従業員の皆さんも、目先の「勝つためのディール」だけではなく、「共創・共に成長するためのリレーション(関係性)」を大切にしていきましょう!
特に日本のビジネスの世界では、小手先の交渉や戦略だけではあり得ません。
人と人とのつながりを大切にし、共に未来を創る姿勢こそが、これからの時代に求められるものではないでしょう?
そして、ウクライナの未来にも、一日も早く「共存と繁栄」が訪れることを切に願っています。