令和版・オイルショック

先週は、東日本大震災から15年の月日が経ちました。
2011年3月11日の東北地方はまだ寒かった記憶があります。
あの極寒の中での津波や地震や関連死を含めると約2万2000人規模だそうです。
改めて、皆さまのご冥福をお祈り申し上げます。

まず、思い出す出来事があります。
あの日、テレビに映し出された最大40mの黒い津波の映像を見ながら、家屋や街路樹が飲み込まれていくのを見て、
胸がざわつきながら心が落ち着かなかったことを今でもはっきり覚えています。
そして、改めて思い知らされたのが「エネルギーが止まることの恐ろしさ」でした。
震災後、数日でガソリンスタンドには多くの長蛇の列ができました。
もちろん物流は滞りました。
この燃料が無いだけで、社会がどれほど不安定になるのか?
当時、矢野会長が政治家と内閣府との連携を取りながら、会長自ら、シューワグループとして早速、現日本BCP役員・中井部長と共に、
岩手県に赴きながら、副知事とも会議を重ねて現地視察後に約3か月の復興支援に携わった時の記憶が鮮明に残っています。
その経験値を元に、石油エネルギーというものが社会の血液であることを学んだことから、
”防災・減災を通じて命をつなぐサービスを増進する”を理念に日本BCPと事業サービスをスタートしました。

そんな中、先週に引き続き、イラン情勢について今週も少し重たい話になります。
しかしながら、石油を安全に届ける会社として、避けて通れない最重要なテーマです。
それは「令和版・オイルショック」の可能性があります。
2月末より、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃をきっかけに、中東情勢が一気に緊張しています。
先日、米・トランプ大統領は「戦争は早期に終結する可能性がある」と強気な発言をしていますが、イラン側は対米強硬姿勢を崩していません。
そして今、最も世界が注視している場所が、テレビ新聞でも毎日報道されている”ホルムズ海峡の事実上の閉鎖”です。
日本が石油輸入する原油の約9割が中東依存をしている状態で、この海峡を通って日本へ運ばれてきていますが、
この2週間以上石油タンカー船が通過不能の現状があります。
つまり、この状況が続けばどうなるか?
日本の石油エネルギーは一気に止まる可能性があります。
このような現状では、先週に比べてさらに状況は悪化しており、非常に緊張した状況にあります。
日本国としても、石油国家備蓄分の254日分の内1か月分の放出決定や再度ガソリンの170円以上への激変緩和策が決まりました。
しかしながら、この対応の早さは良いのですが、これでは日本国の”石油の米びつ”を減らしているだけなので、根本解決には至っておりません。
更に、恐ろしい情報としては、イラン側がホルムズ海峡沖へ”機雷”を敷設する可能性があるという情報も流れています。
この”機雷”とは、私は戦争に詳しくないので無知でしたが、海にばらまく爆弾だそうです。
ペルシャ湾・ホルムズ海峡は”世界経済の喉元”であり、最重要な生命線の喉元に爆弾を複数設置したということです。
もし、本当にホルムズ海峡に敷設された場合には、石油タンカーは簡単には航行できませんし、海上保険の付保も困難となります。
つまり、イランの強行が続けば石油が完全に止まる現実の話です。
これは机上の空論ではありません。
1980年代も同様にイラン・イラク戦争では、いわゆる「タンカー戦争」が起きていて、多くの船が攻撃されて世界のエネルギー供給が大きく揺れました。
しかし、当時と決定的に違うのが、安価な攻撃ドローン兵器が300万円前後で作れて、
そのドローンによって中東各国の石油施設やアメリカ軍施設が攻撃されており、現状でも被害が高まっています。
昨日もUAEの石油タンクにドローン攻撃を行ったとのニュースも飛び込んでおり、
この安価な攻撃ドローン兵器を迎撃するのに約5億円かかる構図となっています。
この航空戦では弱者の戦略によって、以前との戦い方が変わっている現状です。
もちろんですが、この中東からの輸送が止まればどうなるか?
ガソリンや各種の値段は跳ね上がり、物流コストも上昇して、電気料金も上がり物価も上がりあらゆるものの物価高となり消費低迷の構図があり、
企業活動そのものが揺らぎます。
まさに!令和版オイルショックであり、最も恐ろしい危険な状況です。
再度、私は石油業界に入って38年以上になりますが、正直な今の心境は、背筋が寒くなる感覚があります。
日々、様々なニュースが日替わりで変わりますが、その本質は変わりません。
なぜ、核保有国となった北朝鮮には目が行かずに中東各国に注目が集中するのか?
オイルマネーによって、エネルギーを制する者が世界を制することがあり、これは昔から変わらない現実です。
今回の中東情勢の影響はすでに価格にも表れています。
先週のENEOS基準値の卸値はリッターあたり26円上昇しました。
ガソリンスタンドの店頭価格では、消費税を含めると約29円の値上げになります。
「まだ在庫があるのではないか」と思う方もいます。
しかし、石油価格は在庫ではなく、世界市場に連動して動きます。
原油は中東で船に積まれてから、日本に届くまで約3週間から1か月かかります。
しかし、石油価格は、為替と原油価格と船積み価格(FOB価格)で決まります。
つまり、現在の中東情勢は、まだ日本に届いていない原油の価格にも、すでに反映されているという構造なのです。
もちろん石油価格が上がれば、お客様から厳しい声をいただくこともあるでしょう。
しかし、その背景には世界情勢という大きな構造があります。
だからこそ、私たちは、誠実に説明して信頼を積み重ねていかなければなりません。
そして、私は皆さんに、もう一つだけ強く伝えたいことがあります。
それは、再度、”備蓄の重要性”です。
日本では、産油国ではないので、エネルギーを海外に頼っている現状です。
今回でもわかるように、その燃料危機は突然やってきます。
だからこそ、平時の準備がすべてを決めます。
やはり、BCP対策の必要性を忘れない。
まさに!”備えあれば、憂いなし”では無いですが、しっかりとした社会全体としてのエネルギー備蓄が重要であり、
そこにBCP=事業継続計画となるのです。
東日本大震災の時、日本を支えたのも石油備蓄でした。
備えがあったから、社会は完全には止まらなかった。
これからの社会も企業も同じです。
危機が来てから準備するのでは遅いので、危機が来る前に備える。
それこそがシューワグループの責任も大きいのです。
今の石油業界は、平時の顔をした非常時です。
だからこそ私たちは、冷静に状況を見て、そして粛々と自分たちの使命を果たしていかなければなりません。
皆さん、忘れないでください。
シューワグループが届けているのは、燃料ではありません。
地域の暮らしと命をつなぎ、動かすエネルギーです。
地域のエネルギーを守る存在としての誇りを持ち、今日も一日、責任ある仕事をしていきましょう!

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