ホルムズ海峡の閉鎖

皆さんもご存じの通り、2月28日土曜日にイスラエル軍とアメリカ軍がイランに対して軍事攻撃をして、その報復としてホルムズ海峡を事実上、閉鎖しました。
今、世界で起きているこの出来事が、石油業界の視点で見て、どれほど世界経済と直結しているかについて、
今週の社長ブログとして、少し重たい話になりますが、皆さんと共有しておきたいと思います。
昔から、よく言われる言葉があります。
人生には”三つの坂”があると言われます。
上り坂、下り坂、そしてもう一つが「まさか」です。
順調に上り坂を進んでいると思っていた時に突然起きる出来事が、誰も想像していなかった展開です。
そして、世界で、まさにその「まさか」が、イランへの軍事攻撃による最高指導者の斬首作戦です。
私は、石油業界に入って38年になりますが、イラク湾岸戦争、アメリカ同時多発テロ事件も見てきました。
リーマンショックによる原油価格147ドルの乱高下も経験してきました。
そして、コロナでの混乱もありました。
しかし、正直に申し上げますが、この38年の経験の中で、ここまで石油供給における緊張状態は初めてです。
皆さんもご存じの通り、中東原油は世界の原油輸送量の約三分の一を有している。
そして、日本に至っては輸入している原油の90%ほどが、このホルムズ海峡を通過しています。
この海峡は”世界経済の喉元”であり、生命線であることは言うまでもありません。
つまり、ホルムズ海峡が止まればどうなるのか?
世界のエネルギー供給が止まり、経済そのものが大きく揺らぐことになります。
そして、このホルムズ海峡をイランが握り、いわば”石油を人質”にしてアメリカ、イスラエル、中東各国と対峙している構図になっています。
もし、この状態が長引けば、エネルギー輸送だけではありません。
燃油価格だけでなく、物流、製造、交通、電力に限らず、あらゆる日本経済全体に影響が広がります。
まさに!”世界経済の喉元”を掴まれている状態と言っても過言ではありません。
さらに、同じタイミングでパキスタンとアフガニスタンでも戦闘が起きたという報道がありました。
ロシアによるウクライナ戦争も未解決のまま月日が流れて、4年の月日と多くの尊い命が犠牲となっている現状です。
次に控えている中国による台湾問題を考えると世界中で軍事的緊張が高まり続けています。
ここ数年では、大国そのものが武力による制圧が正当化されているように強く感じてなりません。
まさに!20世紀初頭に戻ったかのように世界は今、確実に大きな転換点に入っています。
言い出したら、キリがありませんが、戦争には”自国ファースト”という口実があります。
しかし私はいつも思います。
これだけ多くの尊い命を犠牲にしてまで、人間は一体何を手に入れようとしているのかと疑問に思います。
そして、今回のイラン問題について、アメリカとイスラエルによる力による統一、力による解決は決して正しいとは思えません。
この一週間でイラン国内で1300名以上の命(小学生含む)が失われている現実をどのように説明するのか!
もちろん!国際政治の世界には複雑な事情があるかどうかは分かりませんが、
それと命は全くの別物であり、大国の力で押さえつけるやり方は、必ず新たな憎しみを生みます。
そして、その憎しみが次の争いを生み、またその争いがさらに新しい憎しみの連鎖を生む構図こそが、今までの戦争の歴史の繰り返しである。
各国の思想や論理観がある中でも、人間としての倫理観だけは失ってはいけないと思います。
それは、稲盛塾長の“考え方”の原点である教えである、「人として何が正しいのか」を強く意識することです。
今回の軍事衝突が、長期間、泥沼化しないことを心の底から願ってやみません。

さて、ここからは私たちの石油業界の話です。
現在、石油市場は”ホルムズ海峡の閉鎖”により緊急事態に入っています。
3月7日現在のWTI原油価格は90.9ドルまで急騰し、年初57.5ドルから約58%も上昇しています。
原油先物市場もすでに大きく動き、元売価格も大幅な値上げが始まっており、もちろん!ガソリン価格も急騰しています。
それでも市場では、今のうちに仕入れておかないとさらに上がるという心理が広がっています。
その結果、ガソリンスタンドには価格問い合わせの電話が急増しています。
長年の石油業界経験上では、10円以上の急騰はほとんど前例がありません。
現在の試算では、今週の元売改定価格は15円以上の上昇が予想されているが、輸送コスト、戦争保険、海上リスクを考えると20円上昇の可能性もあります。
原因は明確です。
中東情勢の緊張により、ホルムズ海峡での海上輸送リスクが増大し、戦争保険料が高騰しています。
その要因としては、タンカー攻撃が重なっています。
仮にWTI原油が100ドル超になれば、ガソリン約200円、原油が130ドル超になれば、ガソリン約300円という試算がニュースでも出ていました。
さらに、日本政府も石油備蓄の入札を急遽中止しました。
これは何を意味するのか。
政府も危機を感じ始めているということです。
この状況を踏まえ、会社として判断しました。
全店一律の値上げを行います。
さらに今後、数量規制を行う可能性もあります。
お客様には、とても心苦しいですが、シューワグループとして安定供給を続けるための判断です。
どうか現場の皆さん、丁寧な説明と誠実な対応をよろしくお願い致します。

そして、最後に今日はこれを一番伝えたいと思います。
今回の出来事は遠い国である中東イランのニュースではありません。
私たちの仕事に直結する現実です。
エネルギーは国家の生命線であり、私たちはその生命線を支える仕事をしています。
だからこそ、シューワグループとして改めて強く考えなければならないことがあります。
これこそが、BCPの根幹である”事業継続計画”です。
有事が起これば、エネルギーが止まり、物流が止まり、社会が混乱する。
そんな状況でも社会を守り、従業員さんを守り、お客様への供給を続ける。
その準備を今からしておかなければなりません。
災害も含めて!あらゆる危機は必ず来ます。
問題は来るか来ないかではありません。
有事が来た時に備えているかどうかです。備えあれば憂いなしです。
大災害も含めて、世界は確実に不安定な時代に入っています。
だからこそ、シューワグループは現実から目を背けるのではなく、しっかり直視し、備える会社でありたい。
それこそが、社会を支えるエネルギー企業としての責務だと強く感じています。

RELATED POST

関連ブログ

ピックアップ
Pick Up