スパイラルミックス
先週は、知的バーバリアンからの形式知から暗黙知を学びました。
引き続き、野中郁二郎先生の「モノ」から「コト」へという考え方から、
相互作用の「スパイラルミックス」として仕事を進化させるには、をテーマで皆さんと考えたいと思います。
「コト」を“物語”に変えるとはどういうことか?
私たち旧盛和塾・大和では、稲盛塾長の今までのご経験からくるフィロソフィ(人生哲学そのもの)お話を聞く機会がたくさんありますが、
その中でも塾長のお話は、「モノ」から「コト」の物語性があり、その中でも核心を付くわかりやすさがあります。
仕事の世界でもリアルな現場でも、単に知識を溜め込むだけでは何も変わりません。
私たちにもわかるように簡単に知識を実践に落とし込み、その経験をまた知識にミックスしてスパイラルして昇華させるイメージですね。
こうして積み重ねていくことで、組織も個人も強くなっていくとのこと。
そしてそれを実際の仕事にどう反映させるのか? お客様は、単なる商品やサービスそのものを買っているわけではありません。
お客様が求めているのは “総合的価値” です。
その価値とは、機能・品質・価格だけではなく、「どんな気持ちになれるのか」「どんな体験になるのか」「その商品が自分の生活のどの場面を変えてくれるのか」。
この流れや文脈について、物語性がいかに価値を生むことになるということを野中先生が、
下記の「モノ」から「コト」へ物語性をわかりやすく”おにぎりを題材”にしてもらっていますのでご紹介したいと思います。
—–「モノ」から「コト」を「物語」で考える
顧客が求めるのは総合的価値、顧客はどのように価値を実感するか?
その流れ(文脈)の中で感じるその場その場(シーン)で異なるモノが価値の媒体となる
いかにその企業にしかできないユニークな価値をユニークなやり方で提供するか物的な「モノ」だけではなく意味(コト)が重要である。
■状況を考え、出来事(イベント)を文脈の中で結びつける
・モノ?コンビニおにぎり
・コト?それを取り巻く状況
■天気のいい日、港の近くのコンビニで、釣り客が釣り船で食べるための昼食を買っていく。
店は何を発注したらいいだろうか?
→片手で食べられるおにぎりかサンドイッチ
→気温が高くても傷みにくい梅干おにぎり
仮説を立てるとは、顧客にどんな”こと”を伝えるか、その”ことがら”を考えることであり、顧客はその”ことがら”に共感して買う。
消費が飽和した時代には、売り手と買い手の間で商品やサービスをとおしてそのときその場でどんな関係を結べるかが大切なのです。—–
「モノ」から「コト」を形式知から、暗黙知に繋げてスパイラルミックスとして考える。
「おにぎり」という“モノ”だけを見ていては、ただの食品ですが、しかしながら、そのおにぎりを取り巻く環境を“コト”として考えると無限な方法が存在します。
再度“コト”を整理すると下記のイメージです。
・天気のいい日
・港の近くのコンビニ
・釣り客が船で食べる昼食として買っていく
この文脈を捉えて初めて、店は“より適切な価値”を提供できると考える。
→片手で食べられるもの。
→温度に左右されず傷みにくい梅干し。
→ビニールを剥がしやすい包装。
→飲み物や栄養ゼリーとの買い合わせ提案。
単なる商品ではなく、「この時間、この状況で食べると最高にちょうど良いおにぎり」。
これこそが、“コト”から物語へと発展した価値の形です。
そしてポイントは、これは誰でも思いつくわけではないということです。
今までの常識から知識⇒形式知をもとにしながら、現場の肌感覚で感じる経験値からくる
⇒暗黙知を重ねることで、「あの釣り客たちは何を求めているのか」という仮説が生まれる。
この仮説を試して、結果を知識として抜き出して、お客様の反応を見て再度実践をする。
この繰り返しこそが、“スパイラルミックス”であり、知識を一方的に与えられる側ではなく、知識をつくる側になると云う事です。
これこそが、変化の激しい時代で勝ち残る”考え方”では無いでしょうか!
それでは、私たちの商品やサービスに置き換えるとどうなるのか?
お客様へ単なるモノやサービスを売るのではなく、何の物語性をお届けできているのか?
お客様はいつ、どんな状況で、どんなシーンでご利用をしてもらいたいのか?
次の瞬間からお客様のありがとう!頂けているのか?
これからの日本は、当面インフレと円安の時代となり、あらゆる“モノ”が物価高となり、“モノ”は売りにくい時代となる。
そして、“モノ”が溢れて、競争はより一層厳しさを増していきながら、他社との差別化を見える化に出来るのか?
そこで、本当に差がつくのは「売るモノ」ではなく、お客様にどんな“コト”(体験・物語)を届けられるか重要です。
“モノ”でしか語れない会社は価格競争に巻き込まれて、沈み込むように衰退をしていく中で、価値から“コト”を語れる会社だけが生き残れる時代に入りました。
私たちが向き合うべきは、商品価格勝負では無くて、お客様への人生の物語でのお手伝いの中からの”ありがとう”をどのように提供できるかという視点です。
そのためにできることはシンプルイズベストです。
まさに!ネットとリアルの融合であり、革新的なグリーン・オーシャンもイメージをしながら、
お客様への商品やサービスを使う場面を想像しながら、その期待を少しだけ上回る提案をする。
そして、トライ&エラーの中で得た気づきを仲間と共有して、また現場で試す。
この形式知から暗黙知からの「スパイラルミックス」循環こそが、私たちの力を一段ずつ引き上げてくれると確信しました。
つまり、形式知で学び、現場で暗黙知を磨き、その経験をまた形式知にして共有する。
この絶え間ないスパイラルアップこそ、“モノ”から“コト”へと時代が変わった今、企業が生き残る唯一の方法です。
今後も日々現場の中で、お客様との物語に寄り添いながら、一段上の価値提供を積み重ねていきましょう。
これこそがシューワの未来を創る原動力だと信じています。