
お客の心をぐっと掴む「3割引き」という数字

私もよく日曜日の夕方にスーパーに買い物に付いていくのですが、夕方になると総菜や刺身などのパックに値引きシールが貼られている。
よく観察していると、1割引き、2割引きと時間がたつにつれて割引率がアップしていく。
ところで、この値引き、人はいくら安くなると購買意欲が高まるのかを調べてみましたので、発表させて頂きます。
ある本には一般的に経験則に基づいて「3割引き」といわれている。
ある大学の講義で、以下のような質問をした。9800円の商品があるとしよう。シャツでも何でも構わない。
ただ、いますぐにほしいわけではなく、いつか買いたいと思っているものだ。
ある日、店の前を通ったら、一日限定のセールをやっていた。
あなたは何割引きなら買う気になるだろう。
1割引きだと手を上げる人はほぼゼロ。
2割引きでも反応は薄い。が、3割引きになると手を上げる人が急激に増え、5割引きだとほぼ全員になる。
当たり前だが、人は割引率が高まるにつれて、割安感を強く感じるようになる。
その到達点といえるのが半額(50%引き)になったときだ。
つまり全体のうちの半分まで値下がりしたときが、購買衝動を突き動かす大きな分岐点になる。
さらに、その一つ手前にも小さな分岐点がある。半分の半分である25%だ。20%では割安感は弱いが、25%を超えると高まり、30%に近くなっていくと明らかに変化する。
2001年に吉野家は「牛丼並盛」を400円から280円にした。この値引き率は、まさに30%だった。
その結果、戦略は見事に当たった。
単月での既存店の客数は前年同月比105%増。
つまり、2倍以上の客数となった。
値下げで客単価が28%程度ダウンしたものの、この客数の大幅な伸びでカバーして、売上高は48%増となったのだ。
この例ではもう一つポイントがある。
頭の数が大きく変わることも大事だということだ。頭の数だけでいえば「4」が「2」へ半分になっている。
値下げをしたときに頭の数字が変わることが重要だ。
1800円の商品が10%引きで1620円になってもあまり安くなった気がしないが、1100円の商品が10%引きで頭の数が一ケタ下の990円になると、ぐっとお得感が出てくる。
値引きのコツというものはそういうものなのかなという気がしますね。
そうやってまた日曜日にスーパーに買い物に行くと、いろんな商品の値段を見るのが楽しくなるような気がします。