「脱炭素について」

ロシアによるウクライナ侵略で、今までのエネルギー政策が大きな転換期に変わったように感じています。
緊迫するウクライナ情勢を巡って、今のところでは、地政学リスクとして10年ほどは「戦時モード」となるのではないでしょうか?
ロシアの天然ガスに依存するヨーロッパ諸国はエネルギー確保のために、喫緊の課題として原子力や石炭火力への回帰を迫られています。
特にドイツなどは、自国で消費する天然ガスの5割、石油の3割をロシア産で賄っているとの事。
これまでは、世界的に地球温暖化対策として、脱炭素やSDGs(持続可能な開発目標)が重視される中で、化石燃料からの脱却という動きが進んでいました。
— ※脱炭素社会とは、地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの実質的な排出量ゼロを実現する社会をいいます。
温室効果ガスの排出量を抑制し、排出された二酸化炭素を回収することで、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするものです。—
しかしながら、ロシアの暴挙により世界的経済制裁が始まり資源輸出国からの輸出が減少して、石油、天然ガス価格が上がると、エネルギーを自国で得られなくなる。
こうした緊急事態時に、化石燃料への投資を一方的に悪だと決めつけるのはいかがなものか?と思います。

まさに!下記の言葉をフッと頭に浮かびました!!
「沈みゆくタイタニック号の上で、デッキチェアを並べ替える」という言葉。
船が沈もうとしているときに、慌てて甲板でおたおたと椅子の配置換えをしても意味がありません。
まずは、海水が入らないように穴をふさいだり、船が沈まないための最大限の努力が必要です。
それでもダメなようなら、乗船している全員が助かるための救助、救命措置に全力を尽くす事が重要であり、危機的な状況ですべきことを最優先で進める。
大問題に際して、ささいなことにこだわっていても無意味だということです。

今回のウクライナ危機では、日本国家も今、まさに危機の真っ只中にいて他人事ではありません。
ロシア軍の侵略開始後は、石油や天然ガスの価格は高騰しており、日本経済にも影響が大いにあり全ての物がインフレ傾向となりつつあります。
これからの日本はかなりのインフレを覚悟していかなければなりません。
燃料・原料・資材・部品そして食料など、まだまだ軒並み値上げになります。
「失われた30年」という長い停滞と衰退にもがきながら、日本は、自給力を強化して、ビジネスモデルを再構築しなければなりません。
だからこそ、ヨーロッパ諸国と同様に、 脱炭素は事実上は一時停止として、原子力と石炭火力が最大限利用されるように望みます。

ところで、現在の日本エネルギー自給率は、なんと4%だそうです。
安定的な経済活動を行う為にも、自給率の向上は重要な課題です。
東日本大震災前には、27%であった原子力発電がほぼなくなった現在では、燃料調達にリスクを抱える火力発電(天然ガス)にて減った分を補っています。
そして、今の東京電力の電力逼迫状態では、電気自動車(EV)などの脱炭素政策には急ブレーキをかけるべきだと節に願います。
結論としては、地政学リスクが収まるまでは、脱炭素問題は一旦は据え置きをして、原子力再稼働を進めるべきだと思います。
ウクライナ危機以降、ロシア通貨は9%強下落しましたが、日本円も8%強下落しています。
一方で、その他の主要国通貨は安定しており、日本は一人負け状態です。
今や領土問題でも隣接国(ロシア、中国、北朝鮮など)から難癖をつけられて輝かしい日本国は経済大国の地位からすべり落ちているのです。
だからこそ!今の『日本丸』という船をどっちの方向に持っていくのか、政治家も含めて抜本的な議論をしないとダメだと思います。

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