
「現状維持は衰退」

先週、日産自動車とパナソニックの両社が大規模リストラに大きく揺れています。
特に厳しいのが、日産自動車で赤字額は実に6,708億円であり、15%にあたる約2万人の人員削減が発表されて、
地元神奈川県の2工場閉鎖も取り沙汰されるほどの深刻な状況です。
年初からは、ホンダとの経営統合交渉も破談したとの報道がありました。
世界がEV自動車に舵を切る中で、なぜ日本の名門企業同士が手を結べなかったのか?
かつての名門のプライド、大企業病の勘違い、自社の手前勝手の都合良いこと言っている場合ではない時代です。
そして、破談前には当時社長の年収報酬約3億円超の報道がありました。
この3億円があれば、何人の社員と研究費に当てられたのか?疑問が残ります。
今回のリストラ策は、果たして誰のためのものだったのか?
誰が責任を取り、誰が守られたのか?
そこに透けて見えるのは、“現場から離れた経営”の勘違いであり、“過去の栄光”に陥る大企業病の姿です。
かつての日産と言えば、フェアレディZ、スカイラインGT-Rなどの名車づくりから、“技術の日産”とまで言われた企業でした。
しかしながら、今では「魅力ある車がない」とまで言われており、目先の赤字を取り補う為に、
かつてカルロス・ゴーン氏が行ったのと同じような大幅なコストカット(リストラ)の繰り返しのように感じます。
一方、トヨタ自動車は年間販売1000万台数を超える生産規模を維持しながら、ハイブリット車の技術を駆使しながら、
次世代を見据えた研究開発への投資を惜しまず、強固なモノづくり哲学で進化し続けています。
この違いは明白です。
目先の短期利益に走るか、未来への投資への布石を打つするのか?
日本の自動車産業は、経済の柱であり、その裾野には数多くの中小企業があり、日産のような変革の遅れは、
やがて中小企業の下請けや関連企業の存続すらも脅かすのです。
これは、決して大企業だけの話ではありません。
私たちシューワグループのようなアド・ベンチャー企業にとっても他人事ではなく、むしろもっと切実な問題と考えるべきです。
だからこそ、「現状維持で、本当に未来があるのか?」を日々自問自答しています。
この問いの答えは明白です。「現状維持は衰退」です。
これは、稲盛塾長から学んだ、今でも心に刻まれている言葉です。
JAL再建時、稲盛塾長は「人間として正しいことを貫く」という信念のもと、苦渋の決断として人員削減に踏み切りました。
人を何より大切にする経営哲学と矛盾する判断に、心を引き裂かれる思いだったと語っています。
社員一人ひとりの人生を思い、夜も眠れぬほど悩みながらも、会社の存続と再生を優先して、涙をのんで断行したその姿には、
経営者としての深い覚悟と責任がにじんでいます。
稲盛塾長は「二度としたくない。」とも仰っていました。
解雇される社員はもちろん、残る社員にとっても、そして何より経営者自身にとっても、それは深い痛みを伴う決断です。
だからこそ、変えられる時に変える。
気づいた時には遅いのです。
私たちは、シューワGは今まで幸いなことにリストラの経験は一度もありませんが、この37年間、灯油巡回販売のエネルギー事業からスタートをして、
ライフサポート事業、物流、人材派遣、BCP事業、飲食業と多角化経営をしてきました。
これは、簡単な言葉では表せないですが、”目先の利益”だけを追うのではなく、「働く従業員さんの未来の可能性」のためでもあるのです。
経営とは、「今日の飯を食いながら、明日の種をまく」と稲盛塾長から教えてもらいました。
未来投資として、商品研究開発、採用、教育、システム投資、どれも一見「コスト」に見えるものですが、それが未来を切り拓く「種」です。
シューワ本社も一見では、人が多いと思いますが、現状維持で考えると今の半分で良いと思います。
しかしながら、「現状維持は衰退」を見据えての新事業への研究投資と考えています。
特に若手の皆さんは、血気盛んな20代のうちは、周囲から将来への期待感もありチヤホヤされて、隣の芝生は青く見えます。
でも、いずれ誰もが「結果」で評価される日が来ます。
その時に慌てても遅いのです。
だから、私は若い従業員さんに伝えたいのは、「若い時に流さなかった汗は、老いてから涙になる」楽をして、
気楽な方へ逃げて、後から後悔するのは自分自身です。
だからこそ、今この瞬間に、茨の道があれば敢えて厳しい道を進みながら、そして圧倒的な行動量をこなして、
経験値を積みながら、自分自身のスキルを磨くことが何より大事だと思うべきです。
最後に、最近は常にこの武田信玄の有名な名言「人は城、人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なり。」が頭をループしています。
どんなに時代が変わろうとも、企業を支えるのは「人」です。
社員を使い捨てにするような大企業であっても経営には、未来も信用もありません。
変化を恐れず、現状維持に安住せず、挑戦と反省をエンドレスで続ける。
この決死の覚悟を持って、私たちシューワグループはこれからも挑戦と進化発展を続けて参りましょう!
- « 前の記事へ