やっちゃった日産

かつて、日本が誇るロック界のレジェンド・矢沢永吉が「やっちゃえ、日産」と渋く語るCMが話題になりました。
しかし、今の日産自動車(以下日産)を見ると、「やっちゃった、日産」と言わざるを得ません。
先週、ホンダとの経営統合交渉が破談になったことで、日産は大きな岐路に立たされることになりました。
今回の両社にとっての統合破談が、発表直後の株価にも反映されています。
日産株価は、約5%減として、投資家の失望感が反映されました。
一方、ホンダ株はわずかに上昇して、「ホンダにとって悪い取引を避けられた」という見方が安心感に繋がったようです。
そのように考えると、日本政府が意図的に合併を模索した意図は明らかにあり、特に経済産業省にとっては、
御家産業のモノづくりニッポンの象徴を第三国への技術流出を避けたかった狙いがある。
そんな中、世界的な視点で見ると完全にゲームチェンジャーのエンジン式から、EVシフト&自動運転に舵が切られた状況の中で、
日本自動車産業の競争力強化を目的に、国内メーカーの再編や協力を促してきたように感じていました。
ホンダが圧倒的に優位な状況での、経営再建がままならない日産と対等に組むことは最初から無理があったのかも知れません。
2025年2月の両社の時価総額は以下の通りで、ホンダの時価総額は日産の2倍以上となっており、その差を見ても歴然です。
● 日産自動車: 約3.5兆円
● ホンダ  : 約8.5兆円
これは、ホンダが地味ですがバイクなどの2輪車からのスタートをして、長年の安定した事業基盤を確立してきた。
将来戦略でもしっかりEVや水素技術などで市場からの信頼を得ている結果でしょう!
まさに!ホンダがこの提案を受け入れれば、「貧乏くじを引かされる」との懸念の声も多くありました。
そのように考えれば、ホンダが日産を子会社化にして抜本的改革の選択肢になったのも無理はありません。
特に日産経営陣は、覚悟を持って再建に挑まなければならない状況でしたが、
結果的にホンダとの統合では、”プライドだけの対等”を目指して自力再建の道を選ぶことになりました。
とはいえ!この決断の中に会社の将来性、従業員への未来への選択などが有ったのか?無かったのか?疑問だけが残ります。
変わらぬ大企業病の権力争いとエリート意識があっての企業低迷と迷走が繰り返されているように感じて成りません。
日産の経営陣は、なぜここまで現実を直視できないのでしょうか?
以前にもカルロス・ゴーン氏が日産を立て直すために乗り込みながら、
大規模リストラを断行して強大な力を保持していた労働組合を抑え込んだ経緯があったにも関わらず、現在も社内では権力闘争が続いています。
かつての日産は、日本自動車メーカー第2位として、スカイラインGT-RやフェアレディZなど、憧れの名車を生み出してきました。
しかし、いつの間にか日産はトヨタとの差は広がる一方となりました。
その背景には、やはり強すぎる労働組合の影響や、経営陣に愚直に戦う気力の欠如があるとも言われても過言ではありません。
そして、日産の経営状況はかなり厳しく、【経営の危機と買収の影】が漂っています。
その背景として、海外市場では日産の社債の利回りが10%近い水準まで上昇しており、
これは投資家自身が日産の倒産リスクを高く見ていることを意味しているとの事だと思います。
2026年には、日産社債の償還が始まると言われており、本当にこの負担に耐えられるのか疑問です。
ホンダとの統合が破談になった今、日産が自力で生き残ることはますます難しくなっているようです。
それでは、どこかの企業による救済を探るしかないのでしょう?
ここで名前が挙がるのが、台湾の鴻海(ホンハイ)や中国・BYDです。
もし、このまま日産が弱体化し続ければ、外資による買収は避けられないでしょうし、シャープが鴻海に買収された経緯と似ているかもしれません。
今回、ホンダとの統合交渉をめぐる破談を見ていると、日産経営陣に本当に覚悟があるのか?という疑問が湧いてきます。
彼らの判断は、会社や従業員の未来を見据えたものでしょうか?
それとも、自らの地位を守るための保身なのでしょうか?
残念ながら、私には後者に見えてしまいながら、利己的精神が見え隠れします。
現在の日産を見てみると、かつての日本航空(JAL)が経営破綻に陥った背景に似ているように感じてなりません。
そこには、古き良き昭和・高度経済成長期の日本の残像が強すぎる労働組合とエリート経営陣の高いプライド意識があり、
「大企業だから潰れない」という慢心がありました。
その大企業故ゆえの”怠慢”が不採算路線の放置やコスト管理の甘さを生みだしながら、ついには国の管理下に置かれる事態になり経営破綻となりました。
苦境の中で、再建に立ったのが稲盛塾長でした。
その稲盛塾長は、日本航空をV字回復させたのが「全従業員の意識改革」だったそうです。
まずは、日本国として日本航空の必要性を説きながら、稲盛哲学の実践「人として何が正しいか」という経営理念が企業改革に大きく貢献されました。
その後、部門別「アメーバ経営」を導入して、収益体質を徹底改善し、コスト管理を徹底することで、短期間で黒字化を達成!
そして、わずか2年8か月での再上場を果たしながら、異例のスピード再建をされ、経営破綻した企業が短期間で再建し、再上場を果たすことが可能であることを示しました。
JALのV字回復は、「全従業員の意識改革」経営危機に直面する企業にとって、もっとも重要なポイントだと、旧盛和塾・諸先輩からも教えても貰っています。
日産もまた、日本航空と同様な大企業病に侵された官僚体質の同じ過ちを繰り返しているのでは無いでしょうか?
真の再建には、”経営陣の覚悟”と”全社一丸の考え方改革”が不可欠だと強く感じました。
このままでは、本当に「やっちゃった日産」となりかねません。
ものづくりニッポンの魂が、また一つ消えてしまうのか?
今こそ、日産の経営陣はその覚悟を問われていますので、これからも注意深く見ていきましょう!
やはり、世界経済は常に目まぐるしく動いております。
今の現状維持のベスト選択より、現在進行形の”ベターな考え方”をもって現状維持は衰退の意識で日々改革をしていきましょう!

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