
「三方よし」自ら成長できる場に 前編

先週、日本経済新聞に「<学びのツボ> 会社って何だろう?の記事があり、サブタイトルに、現代も生きる「三方よし」 自ら成長できる場に。」が掲載されていました。
丁度、来年度新卒者の面接真っ盛りなので、どのような視点での<学びのツボ>なのか興味がありましたので、
今週は、「いい会社と自ら成長できる場」について、ポイントを絞りながら、皆さんと考えてみたいと思います。
—–「会社」って何だろう――。
大学生の皆さんもいずれ卒業を迎え、社会人として踏み出すことになります。
会社に就職する方もきっと多いことと思います。自分に合った会社はどこか。どんな会社を選べばいいのか。そう思い悩む方も多いかもしれません。会社について、一緒に考えてみましょう。
皆さんの手元にある携帯電話。これを一人で作ることはできませんね。部品をつくる。それを集めて組み立てる。
製品を売る人も必要です。アプリがなければ、有効に動かすことはできません。
そうした大きな事業をするのが会社という仕組みです。まず会社をつくって広く資金を募ります。
それを元手に人を集め、仕事を分業します。工場設備もいるかもしれません。できた製品を多くの人に買ってもらう。そうしてもうけた利益を分け合う仕組みです。
中学校や高校で「東インド会社」を学んだと思います。
でもなぜ知っておく必要があるのでしょう。400年前にうまれた株式会社の仕組みが、現代も脈々と生きているからです。
日本には会社がいくつあると思いますか。実に300万社以上あります。一人だけの会社もあれば、何十万人の社員を抱える大企業もあります。世界に展開するトヨタ自動車はグループで37万人の社員がいます。
「iPhone」を手掛ける米アップル社は、創業者のスティーブ・ジョブズ氏が自宅のガレージで友人とコンピューターを自作したのが始まりです。
大企業も最初は小さな会社から一歩を踏み出しています。
優れた製品やサービスで消費者に喜んでもらうことで会社は成長します。逆に顧客のニーズを見失い、衰える会社もたくさんあります。会社は「生きもの」といわれるゆえんです。
時代の変化とともに、社会が求める会社の役割は変わります。米国ではこれまで、資金を出した株主の利益を最大化することが第一だとしてきました。著名な経済学者ミルトン・フリードマン氏の主張でした。
しかし、格差の拡大や環境問題が深刻さを増し、会社はより多くの関係者に配慮すべきだと反省が起きているのが今です。
2019年に米国の経営者団体が「ステークホルダー資本主義」を打ち出しました。株主だけでなく、顧客、従業員、仕入れ先や地域社会に対して責任があると、軌道修正を宣言したのです。
日本に「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」という言葉があります。
江戸から明治時代に活躍した近江商人が大事にした理念で、まさに顧客や社会とともに繁栄する大切さを説いたものです。
「いい会社」を見極めるのは実は大変難しいことです。
ただ、10年、20年後には皆さんが経済や社会の中心になります。そのときに社会に必要とされる会社だろうかと問うことはできます。世界が取り組む「持続可能な開発目標(SDGs)」とも重なる視点です。
京都発祥で500年続く虎屋という和菓子店があります。明治維新のときに東京に出店、関東大震災や第2次大戦は事業モデルを見直す転機になりました。変わり続けているから今があります。
新型コロナウイルス禍は私たちの生活や社会を変えました。苦境ばかりとは限りません。飛躍のチャンスにする会社もあります。持続可能性(サステナビリティー)は「適応力」だと考えるべきでしょう。
人工知能(AI)など様々な技術革新が進んでいます。視野を広く時代の流れに敏感であってほしいと思います。
消費者に近い分野のほかにも、会社同士のビジネスで優れた会社が数多くあります。調べるうちに「自分がやりたいこと」に重なる会社が見え始めるかもしれません。
そのうえで、自ら会社を起こしたいとの考えに至る人もいるでしょう。
給料だけでなく、自らの成長を実感できれば、働く姿の理想に近づけると思います。自分はどんな働き方をしたいのか、自分が社会で果たす役割は何か。
そうした問いを第一歩にして、会社選びを考えていってもらいたいと思います。—–
この短い記事でしたが、たくさんのキーワードが有り、とても勉強になりました。
(1)「いい会社」とは?
(2) 会社は「生きもの」
(3)「三方よし」とは?
(4)社会に必要とされる会社とは?
(5)自己の成長!!
まずは、(1)「いい会社」とは?の定義を調査してみました。
「いい会社」を考えるうえで、「財務的業績」「長寿性」「働きがい」の3つの観点が最も重要であると考えられています。
「財務的業績」の良好な企業に関しては、RMS研究所のプロジェクトメンバーによって、1974年9月から2008年6月までの全上場企業の株価リターンを計算し、産業別に株価リターンが大きかった企業を選出し、各企業の事実分析を行ないました。
「長寿企業」の特徴に関しては、亜細亜大学教授 横澤利昌氏が中心に行った長寿企業の調査を参考にし、「働きがい」の特徴に関しては、Great Place To WorkRモデルを参照しました。
そこから導き出された「いい会社」に共通する特徴は、以下の4つです。
A)時代の変化に適応するために自らを変革させている。
B) 人を尊重し、人の能力を十分に生かすような経営を行なっている。
C) 長期的な視点のもと、経営が行なわれている。
D)社会の中での存在意義を意識し、社会への貢献を行なっている。
4つの特徴に大きな驚きはありませんが、実に学ぶべき点が多いです。
シューワグループは、現在進行形のアドベンチャー企業なので現時点での採点は70点としたいです。
満点への道は当然容易ではありませんが、道しるべがあればそれもとても重要であり、楽しみとなります。
そして、(2)会社は「生きもの」とあります。
まさに!時代の流れに応じて、社会が求めるニーズと顧客のニーズを感知しての事業のモデルを少しずつカスタマイズをする必要があります。
お役様に喜んで頂くために、お客様の変化するニーズに合わせたサービスが提供できる変化対応力を身に付けていかなければなりません。
変化対応力が無ければ、企業は衰退していずれは倒産の道を歩むこととなります。
先月、ランチャスター戦略を名倉先生より勉強させて頂きましたが、経営での一番大切なものが”お客様を増やす”事と学びました。
小手先での、他社の動向や利益などに振り回されてしまうと、社会が求めるニーズや顧客のニーズからズレてしまうこととなり本末転倒となります。
その様に考えると会社は「生きもの」の表現がしっくりときました。
次に(3)「三方よし」。これは近江商人の売り手よし、買いてよし、世間よしですが、企業の究極の目標は永く存続させることにあるといつも思っております。
そのデータの裏付けとして、世界の創業100年企業の約8万社中、日本の100年企業は41.3%と世界で最も多くなっていることに驚愕します。
やはり、時代の流れの中で長く企業を続けていくことは、「自分だけ儲かれば良い」という考え方だけでは不可能ということですね。
しかしながら、古き良き時代での、「三方よし」で経済成長・発展をしてきた日本ですが、その一方でのネガティブな面もあったと思います。
例えば、「環境汚染」や「従業員の自己成長」などが阻害されていたと言っても過言ではありません。
いくら「売り手よし、買い手よし、世間よし」と言っても「環境汚染」や「従業員の自己成長」が無くては良くないと思います。
これからのIT・AI時代には、シューワグループでは「五方よし」お客様よし、地域社会よし、取引先よし、社員よし、会社よしを掲げております。
色々な業界にチャレンジをして事業を広げる中でも、「五方よし」を貰えない商売はやらないと決めております。
新時代は、「三方よし」からの、win-win-win-win-winの「五方よし」です。
創業35年目にして、利他と商売の奥深さを改めて再認識させられました。
次週は、(4)社会に必要とされる会社とは?(5)自己の成長 について、引き続き考えてみたいと思います。
皆さんも同時に考えて頂けると幸いです。