人手不足が続く運送事業、今こそ取り組みの見極めが大事

運送を中心とする物流業者は、創業時の関係から事業を立ち上げ、収益性や付帯業務の少ない作業を選択して事業の柱に据えて、夫々の得意分野としてきました。
物流は顧客先の工場から末端迄の業務を請け負う事から、景気動向に最も左右される業種とも言えます。
数年前から厳しい状況の続き大手でも競合先との共同配送の取り組み、変動する物量の変化に対応してきました。
更に昨年あたりからは急速に過去に例を見ない人手不足が始まり、受託業務の維持さえ難しい企業が増えて来ております。
異常気象の世界だけでなく、物流の業界でもこれ迄からすると異常ですが、『雇用事変』が始まったと考えて行動をすべき時に来てるようです。

1.業務別傾向
参考までに事業展開を業務内容で大別すると4タイプに分かれますが、それぞれに課題が見えてきました。
 ①長距離幹線型
 大手業者に寡占化された運行業務ですが、顧客先の景気の波で出荷量に影響が出て、従来の自社便数での対応から競合先同士での共同配送に3年前から取り組みが始まってます。
 人手不足背景に値上げは出来ても従来からの取引の長さもあり、価格は抑えられてる。
 乗務員の拘束時間管理が厳しく取り締まられる事も多い。
 ②集配荷業務型
 顧客先チャーターで配車を任せるタイプと、自社で数社の顧客を組み合わせて、工場からセンター間での集配を組み合わせた運行業務です。
 前者は自車両効率を優先しますので、協力業者は欠車や遠方配送とか割を食う事が多くなる傾向です。
 後者は数社の取引が同一期間守られる事が確約はされません。あくまでも自身で組み合わせる事になります。
 顧客先毎の価格の変動?取引の変更が起こる前提での運用形態とも言えます。
 ③終日チャーターでの配送代行型
 現行の取引の主力形態です。現取引先では、雇用の継続は一定期間確約されますが、顧客先実施マニュアルの縛りやのコスト重視の運営から受託業務内容の改善や値上げ交渉に時間が掛かる傾向にあります。
 また付帯業務が多く、乗務員が一番敬遠する傾向がはっきりしてきました。
 ④ネット通販・宅配型
 Amazon、楽天に代表される大手通販やコンビニで需要は昨今急速に高まっておりますが、業界でも取り組みに参入する企業もあります。
 が、反面大手のSagawaやヤマト宅急便が撤退したところである事実をどうとらえるかでしょう。
 彼らは自社システムありきで判断しましたが、他社は取引の急増に期待して相手システムで使われる事になります。
 何個配送したかが売上です。不在者対応など自社経費では賄えません。
 唯一有利な点は人材確保がパート雇用時間の組み合わせで運用できる事ぐらいでしょう。
 構内管理と併用できない配送だけでは厳しい筈です。

2.取り巻く環境
経営において共通する課題は、人件費・募集経費・燃料代・修繕費の変動する経費を如何に効率的に運用できるかが、各社の収益性に大きく影響します。
昨今では、人材不足で在りながら(繋ぎとめる為の人件費・採用する募集費の増加)と燃料費の高騰の2点が、経営を苦しめており、その打開策自体明確なものが見つけられずにいる状況と言えます。
更に追い打ちをかけるように行政からの長時間労働の取り締まりが厳しくなってきており、業界で隠されてきた収益構造にメスが入ってきております。
来年には働き方改革として有給休暇の取得が打ち出されており、より精密な運営が求められてるのが物流業界と言えます。

3.取り組みの方向性
 ①事業部の5か年計画での方針に3PL事業の構成比を50%に引き上げる事を重要課題においてます。これには、顧客先との取り組みの深耕でより強いつながりを持てる事があります。
 また構内作業をする事で入出荷のデータ解析が可能になり、より効率的な車両の配車にもつなげる事が可能です。
 繁忙期には構内作業者に乗務可能な兼任社員の配置をする事で、乗務員不足の解決の一助に繋げる事も前提に考えてます。

 ②物流部では一昨年から協力業者活用しての業務委託で営業の裾野を拡げる取り組みを強化してきました。人手不足が叫ばれる中では矛盾した行為に見えますがそうではありません。
 こんな時代こそ協業する事で、要員・車両の確保する対象を拡げた効果に繋げています。
 そして何よりも賛同取り付ける条件の確保と管理する側として顧客先との調整・交渉力を持って信頼を勝ち取らねば出来ない事です。

4.乗務員不足への対応とお願い
通常業務に於ける命題は、第一に新規営業では規制に影響しない拘束時間で好条件の仕事を最優先に交渉する事です。
第二には既存顧客先で敬遠される付帯業務や値入り条件面での改善を適宜に行う事です。人手不足、燃料代の高騰、監査が厳しいの3点揃ったことは過去にはないだけに改善のチャンスと考えてます。
過去にない程のピンチ(3点の問題)とは言えますが、静観する業者の多い今こそ、獲得には最大のチャンス(獲得環境は揃ってる/値上げ可、対応可能企業少ない等)にあるのは間違いありません。
其の為には人材確保が最優先です。不足する人員確保を年内中に解決する為に求人誌やネットだけでなく派遣業者への募集も掛けてきました。
関係する方へも紹介者の斡旋をお願いしておりますが、まだまだ追い付いてないのが実情です。
夏期にはグループシナジーで手配の形が出来てきましたが、冬期の採用に関して、改めて社員皆様の知り合いにどうか注意して声掛けをお願いしたいと思います。

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