今週は、もの凄いものを見ていまいました。
30年以上石油業界に携わっていますが、WTI(ニューヨーク原油先物)5月限価格が史上初のマイナスとなりました。
なぜ!原油価格が下がってしまったのか?とても興味深いので考えてみましょう!!

まず、原油価格の下落は、中国武漢発症のコロナウィルスが大きく影響。
年初から2月ぐらいに掛けて、中国を初めとする工場生産がストップして原油使用量が激減して、その後、入国規制や都市封鎖を断行して飛行機使用が急減して拍車をかけてしまいました。
各国も同様に出入国制限や企業活動自粛状態が始まり一気に世界経済がストップした形となりました。

今までの”通常”のやり方では、原油の産出量を減らして価格を上げる(協調減産)という手段を取りますが、3月6日の原油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の協議が決裂というシナリオ。
そこではサウジアラビアが提案をした日量150万バレルの追加減産案をロシアが拒否!
それに怒ったサウジアラビアが現行の日量約970万バレルから4月からは、日量1200万バレルまで増やすこともできると逆切れ状態となりました。
それに伴い、WTI原油先物チャートも1バレル40ドル近くまで下落し、その後も下落を続けて現在という流れです。
その後、40ドルから20ドル!さらに値を崩し先日のWTI納会終値は-37.63ドル、瞬間的な安値は-40.32ドルでした。

理解しがたいですが、原油を売った上におカネを相手に渡すのです!!
新型コロナの影響で世界経済がガタガタになっているで、消費は低迷していてタンクはジャブジャブで目一杯状態。
その状況で納会日を迎え取引が終わりに近い!売りたくても買いに応じる人が居ない!急落に繋がった主な要因と言われています。
それに加えて、期近「現物(原油)」の受け渡しができない人も取引に加わっている、これも大きな要因と言われています。
WTI原油先物を買ったまま本日が終わるまで放置するとどうなるでしょうか?
例えば昨日の引値-37.63ドルで1枚買うと、「1バレル(≒159リットル)-37.63ドルで、1,000バレル『必ず』買って下さい」となります。
WTI原油先物の最小取引単位が1,000バレルということは、1,000バレルの原油を蓄える場所が必要となります。
パイプラインや船といった輸送手段も必要です。
石油業者であれば問題はありません。
しかし、WTI先物取引は石油業界以外の人も多く取引します。ほとんどの業者が石油タンクを持っていません。
通常取引の場合では、原油ファンドは5月限が終わる本日までに「5月限を売って、6月限を買う」という取引をしていて今までは取引が成立をしていました。
それが、コロナショックで通常取引が出来なくなり、投げ売りとなったワケです。
投げ売りをしないと、原油が手元に入ってきてしまう構図となるのです。
どこかの国にマイナス金利があるので、冷静に考えると不思議ではありません。
次月の6月限は21ドルで引けていますから、今後も実需が落ちてタンクが目一杯になれば同様の価格下落に拍車が掛かるかも知れません?

世界経済を一瞬で硬直させた、恐るべし新型コロナウイルスであり、感染拡大による経済活動の低下です。
4月の初旬にはトランプ大統領の仲介でサウジとロシアの間で原油量削減に手打ちがなされた筈でしたが、そんな思惑を超えた実需の落ち込み様です!
まさに、この3か国のお偉いさん方々は予想だにしていなかった現実では無いでしょうか?
その中でも、深刻なのが米国シェールオイルの発掘業者です。
シェール業者の採算ラインは1バレル50ドルといわれています。
10年以上前から技術革新により北米を中心に開発ブームとなり今やアメリカが世界一の産油国となりました。
しかしながら、現在の原油価格では損益分岐点を大きく下回っている現状であり採掘もままなりません。
また、原油安に連動して起こる事は、原油産油国が産出費用を補うために株式を売却するというシナリオです。
国の財政収支が均衡する原油価格はサウジアラビアが1バレル60ドル以上が必要であり、ロシアのそれは1バレル40ドル台なので、現在の1バレル20ドル台ではほとんどの主要産油国が財政を賄えなくなってしまいます。
収入源のほとんどが、原油に頼っているサウジアラビアではかなり深刻な状況となり大きな賭けに出たといわれています。
その為、産油国の財政が逼迫してくるとオイルマネーが株式市場から資金を引き揚げる構図となりより株価下落も拍車をかけるとの事。
コロナショックから始まり、世界経済の硬直より仕事がなくなり工場がストップしてしまえば、世界的に自粛を余儀なくされる中、更に原油下落の影響で同時多発の状況下に直面しています。
一般的には世界の景気が良いときには原油が多量に使われるのです。
今の状態が続く事は、日本だけではなく世界的に景気が後退してしまう状況に陥りますので長引くことは決して良い事だとは思いません。

石油業者としては、原油価格の下落は嬉しいコトですが、健全な世界経済を考えると一刻も早くコロナウィルスが沈静化され、世界景気が循環するような状況になる事を願います。
社員の皆さんも新型コロナウイルスに対して、最善策をとれるように不要不急の外出は自粛しましょう!

有事の際のリスクを最小限に災害時の燃料確保について【BCP対策】燃料の緊急時供給契約専属貯蔵サービス・専属配送サービス

筆者:矢野秀和
シューワグループ
代表取締役