本日は、「私淑(ししゅく)」について話をさせて頂きます。

皆さんには尊敬する人物はいますか?

皆さん「私淑」という言葉をご存知の方はいらっしゃいますか?何時もの様に辞書で調べてみますと、[名](スル)《「孟子」離婁下の「子は私(ひそ)かにこれを人よりうけて淑(よし)とするなり」から》直接に教えは受けないが、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶこと。「―する小説家」とあります。ちなみみこれとは反対に、直接教えを受ける場合は「親炙(しんしゃ)」といいます。[名](スル)親しく接してその感化を受けること。しんせき。

有名な言葉で国が滅びるときの3つの兆し

歴史上有名な方が私淑された例を上げますと三国志で有名な、「諸葛亮」は「管仲(かんちゅう)」や「樂毅(がくき)」に私淑されたそうです。清末(しんまつ)の宰相「曽 国藩(そう こくはん)」は「孟子(もうし)」に私淑されたそうです。曽国藩の有名な言葉で国が滅びるときの3つの兆しと言うのがありますが、少し紹介させて頂きます。

  1. 情実人事が罷り通ってでたらめな人たちがやりたい放題のでたらめをやり、善良な人たちがおし黙る
  2. 外部から非難されることをおそれて情報をみんなで隠すから、とり繕ったきれいごとの報告しかされなくなる
  3. 倫理観が頽廃して、何が正しいことで、何が悪いことか、誰にも分からなくなる

幕末の有名な方で「吉田 松陰」も「孟子」を私淑されていたました。戦国武将の武田信玄が「孫子」を私淑されていいたことは、「風林火山」の旗で有名ですが、信玄公は、宗旨・宗派を問わず名僧・高僧に私淑し、仏教はもとより中国の儒教・道教の教えを受け、「三教一致」の思想を持って何事にも対処されたそうです。

私淑(ししゅく)する人物を持たないのと持つのとでは大きく違ってくる

私自身が私淑する「安岡 正篤」氏の残された言葉を紹介させて頂きます。
「若いあいだに、自分の心に理想の情熱を喚起するような人物を持たない、理想像を持たない、私淑(ししゅく)する人物を持たないのと持つのとでは大きな違いです。なるべく若い時期にこの理想精神の洗礼を受け、心の情熱を燃やしたことは、たとえ途中いかなる悲運に際会しても、いかなる困難に出会っても、必ず偉大な救いの力となる。」紀元前300年頃に「孟子」が残されたものをご紹介します。

故に天のまさに大任を是(こ)の人に降(くだ)さんとするや、
必ず先ず其の心志を苦しめ、
其の筋骨を労せしめ、
其の体膚(たいふ)を餓せしめ、
其の身行(ふるまい)を空乏(くうぼう)せしめ、
其の為さんとする所を拂乱(ふつらん)せしむ。

心を動かし性を忍ばせ、其の能(よ)くせざる所を曾益(ぞうえき)せしむる所以なり。
今の言葉に訳すると・・・
天が重大な任務をある人にくだそうとする時には
必ずまずその人の精神を苦しめ
その筋骨を疲れさせ
肉体を飢えさせ
生活を困窮させ
なすことの全てをその意思と食い違うようにさせる。
これは天がその人の心を発奮させ辛抱強くさせて、今まで出来なかったことでも出来るようにするための試練である。

最後に

「私淑する人物を持つ」という事について、皆さんも業務やこれからの人生の参考にしてみてください。

【参考文献】
「青年の大成」著者:安岡正篤/2002年6月/致知出版社
「孟子を読む」http://suzumoto.s217.xrea.com/website/mencius/mencius.html
「goo辞書」 http://dictionary.goo.ne.jp/

【参考資料】
孟子
離婁章句 下 二十三

【原文】
孟子曰、君子之澤、五世而斬、小人之澤、五世而斬。予未得爲孔子徒也。予私淑諸人也。

【現代訳】
孟子は言う。「君子の遺風は、五世代もすれば尽きてしまう。小人の遺風もまた、五世代もすれば消えてしまう。
余は、孔子の直接の生徒となるには生まれるのが遅すぎた。
しかし余は幸いにも孔子のもろもろの業績を人々から伝授されて、孔子をひそかに慕うことができた。」
告子章句 下 十五

【原文】
孟子曰、舜發於田畑之中、傳説擧於版築之閒、膠鬲擧於魚鹽之中、管夷吾擧於士、孫叔敖擧於海、百里奚擧於市、故天將降大任於是人也、必先苦其心志、勞其筋骨、餓其體膚、空乏其身行、拂亂其所爲、所以動心忍性、曾増其所不能、人恒過、然後能改、困於心、衡於慮、而後作、徴於色、發於聲、而後喩、入則無法家拂士、出則無敵國外患者、國恒亡、然後知生於憂患而死於安樂也。

【現代訳】
孟子は言う。「舜は、田畑を耕す農夫より身を起こした。傳説(ふえつ)は、版築(はんちく)作りの土方から抜擢された。膠鬲(こうかく)は、魚塩の売人から抜擢された。管仲は、士に囚われた罪人から抜擢された。孫叔敖(そんしゅくごう)は、海浜に隠れていた中から抜擢された。百里奚(ひゃくりけい)は、市井の中から抜擢された。このように、天が地上の人に大任を下そうとするときには、必ずまずはその人の心を苦しめるものなのだ。肉体を苦労させ、餓えに苦しませ、しようとすることをしくじらせる。こうやってその人の心をゆさぶって忍耐強い性根を築かせ、それまでできなかったことまでもできるように力をつけさせるのだ。人というものは大抵過ちを犯すものだが、そうした後はじめて自分を改めることができるのだ。心苦しみ、いろいろ思案をめぐらせて、そうした後はじめて発奮することができるのだ。苦悩が顔に表れ、声を発するようになって、そうした後はじめて悟ることができるのだ。国の中に法刑に厳しい士も君主を諌める側近もなく、国の外には敵国も外患のおそれもないようであれば、その国はやがて必ず滅ぶであろう。こうして、憂患は生につながるのであって、安楽は死につながるものであることを知る。

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筆者:鯉ノ内隆弘
シューワグループ
執行役員部長